open the door to a new world of scents vol.4 Rose de Mai

【香料連載】 第4回 ローズ ドゥ メ

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【香料連載】 第4回 ローズ ドゥ メ

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photography: So Mitsuya
text: AYANA
edit: miwa goroku

フレグランスを構成する<香料>を軸に、ファッションフレグランスからニッチなメゾンフレグランスまで、気になる香りをピックアップ & アーカイブしていく本連載。ビューティライターの AYANA が香りの魅力を紐解きます。ヴィジュアルは、独自のデジタルコラージュで注目を集める写真家・三ツ谷想が担当。4回目のテーマは「ローズ ドゥ メ (メイローズ)」。その名の通り5月にだけに収穫される、希少な品種の個性と魅力に迫ります。

CHANEL (右): 1921年、世に解き放たれた香水の革命。フローラルブーケという概念はここから生まれた。Perris Monte Carlo (左): グラースを代表する調香師ジャン・クロード・エレナへのラブレター。ムスクやイモーテルを忍ばせたローズ ドゥ メの表現

フレグランスにおいてローズはもっとも有名な香りといえるでしょう。ローズを避けて通ることはできません。気高い存在ながらあらゆる香気成分との相性がよく (つまりクセがない。ここがジャスミンやネロリと異なる点です)、誰もがローズの虜になってしまいます。ロイヤルストレートフラッシュやアラジンの魔法のランプのような、チート級のパワーを持った花です。

ひとくちにローズといっても鑑賞用から香料用まであり、その種類は2万以上といわれますが、香りの世界で使われるローズは主に2つの系統に分けられます。それがダマスク種とセンティフォリア種で、いずれも非常に希少価値の高いものです。さらに、センティフォリアのなかでも最高峰に位置するローズがあり、それがローズ ドゥ メなのです。フランス・グラース地方の限られた農園でしか栽培されず、厳格な管理のもと最高技術で採油されている特別な品種です。

LOUIS VUITTON (右): ローズ ドゥ メとダマスクをブレンドし、ウードでまとめた幻想的な世界。みずみずしさと重厚さのコントラストが鍵。DIOR (左): 夜明けのローズ ドゥ メをイメージ。茎の青さやペッパーといったアクセントを利かせたフレッシュフローラル

「5月のバラ」という名の通り5月にしか収穫できないこと、クローズドな場所にあることから、ローズ ドゥ メはごく一部のフレグランスメゾンしか扱うことができないといっていいでしょう。ローズを使ったフレグランスは星の数ほどありますが、それが由緒正しいローズ ドゥ メであると公言しているものはほんの一握りです。

みずみずしく豊潤な香りのローズ ドゥ メは、まるで楽園に足を踏み入れたような、夢みたいな浮遊感に満ちています。しかしその存在感は他を蹴落とすようなものではなく、あらゆるノートにしっくりと溶け込み、香りにぐっとエレガンスとまろやかさ、可憐さを加えて厚みを持たせてくれるのです。ローズ ドゥ メを使ったフレグランスは、ロマンティックなものからピリッとシャープなものまで幅広くありますが、どれも唯一無二の「本物感」を纏わせてくれます。