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15年ぶりの復帰を果たした m-flo (エムフロウ) VERBAL (バーバル) インタビュー

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VERBAL (バーバル)、☆Taku Takahashi (タク・タカハシ)、LISA (リサ) の3人体制で活動を再開した m-flo (エムフロウ)。最新アルバム『the tripod.e.p.2』のリリースを目前に、近年ではファッションのフィールドでも世界からの注目を集める VERBAL に新生 m-flo、変わりゆく音楽シーン、そしてディレクターを務めている AMBUSH® (アンブッシュ) について話を訊いた。

15年ぶりの復帰を果たした m-flo (エムフロウ) VERBAL (バーバル) インタビュー

Photo by UTSUMI

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2017年12月、ソロ活動に専念することを理由に脱退した m-flo (エムフロウ) のオリジナルメンバー LISA (リサ) が15年ぶりに復帰し、VERBAL (バーバル)、☆Taku Takahashi (タク・タカハシ)、LISA の3人体制での活動再開することが明らかになった。

発表後は過去のオリジナル楽曲150曲を網羅したアルバム『UNIVERSE』、新進気鋭のアーティストを迎えて過去の楽曲のリミックスを収録した EP『BACK2THEFUTUREEP』を配信。長めの助走をつけ、遂に3月7日、1999年発表のメジャーデビュー作『the tripod e.p.』になぞらえて『the tripod e.p.2』と題された原点回帰的なアルバムをリリースする。

空白の間、異なるフィールドで活躍していた三者だが、今回 TFP では、常に日本の音楽シーン最先端に身を置きながら、近年ではファッションのフィールドでも世界からの注目を集める VERBAL にインタビュー。新生 m-flo、変わりゆく音楽シーン、そしてディレクターを務めている AMBUSH® (アンブッシュ) について話を訊いた。

—15年ぶりに3人体制で活動再開するに至った経緯をお聞きしても良いですか?

2016年に J-WAVE のイベントで、☆Taku と LISA が一緒にパフォーマンスをしたんですけど、その時に m-flo の曲を聴いて嬉し涙を浮かべるファンの姿を見た LISA が「もう一回メンバーの一員として受け入れてほしい」って言ったのが最初のキッカケですね。そして、連絡を取っていた矢先に僕が交通事故に遭ったんです。今はもうすっかり良くなったのですが、その時間でこれまでのことを振り返っていたこともあり、こうして3人での活動を再開することになりました。

—15年間、それぞれが異なる分野で活動されていたと思いますが、その間互いに刺激を受けることはありましたか?

やっぱり離れて仕事すると相手へのリスペクトは増しますね。☆Taku は一番身近にいたのでよく分かっていたつもりでしたが、こんなことしてたんだ、すごいなと思う部分もあったり。ふと手に取ったCDのジャケットを見たら、これも☆Taku がプロデュースしてるんだ、こういうの m-flo でやって欲しかったなあっていう話をしたり(笑)LISA も含め、それぞれが異なるフィールドで仕事をしてきて引き出しも増えたし表現の幅も広がったので、これからの楽曲にも大きく影響を与えると思います。

—クリエーションに対しての関わり方に変化はありましたか?

昔は☆Taku がトラックを作って、それに LISA がメロディーをつけたり、僕がメロディーつけるのを手伝ったり、☆Taku→LISA→僕っていう順番で曲を作ることが多かったんです。僕は書き溜めたリリックの中からハマりそうなものを用意してスタジオに入るスタイルでした。でもいまはスタジオに入ってから、☆Taku がこうするならこういうラップだなとか、LISA がこんな感じで歌うならこうだな、とみんなの空気感を味わいながらラップするようになりましたね。最初は LISA に「どうしたの?準備してないの?」って言われたんですけど、3曲くらい作ってやっと「VERBAL のプロセスちょっと分かってきた」って言ってもらえて。それで彼女の表現もますます豊かになるし、☆Taku のトラックも変わってきたり、そういう意味で昔とは少し違うプロセスで曲作りをしています。

—久しぶりに3人で曲作りをした率直な感想は?

しっくりきました。多くの方と仕事をしてきましたが、やっぱりこのメンバーはやりやすいし居心地が良いです。初めて一緒に歌うボーカルがいると、歌った後にその人の様子を伺うこともありますが、それが LISA だといい意味で気を遣わずに何でも言えるんですよね。「もっとメロディーこうした方がいいよ」とか「歌詞変えてみたら?」とか。☆Taku も僕に「これやっぱり良くないからラップバッサリ切っていい?」とか言ってきたり(笑)良い作品を作るために建設的に批評をし合える関係なんです。☆Taku とは m-flo を結成する前からずっと一緒にやっていて、運命共同体だなと思っていましたが、m-flo が始まって LISA が抜けて、また戻ってきたのって運命なのかもしれないと感じています。

—すでに2回パフォーマンスを行われていますが、3人での久々のステージはいかがでしたか?

USJ でのカウントダウンライブはミスコミュニケーションがあって、到着したらリハーサルが2分くらいしかないという事件が起きたんです。LISA はまだ声出してないし緊張もしていて、正直危ない状況だったんですけど、いざ始まるともうメンバー全員が昔の感覚を取り戻していて、互いにコミュニケーションを取りながら一曲一曲楽しんでパフォーマンスができました。☆Taku なんて盛り上がってブースから出ちゃって、その間僕がDJブースに入って埋めるっていう(笑)そこも阿吽の呼吸でできるのはやっぱり長年3人でやっていたから。純粋に楽しかったですね。そしてアゲアゲな曲なのに泣いているファンの姿もあって、長年待っていてくれたんだなと思うと感慨深い瞬間でもありました。

—再始動にあたって、大事にしようと思ったことはありますか?

僕が心掛けているのは、なんでもガラス張りで共有すること。この業界で長年仕事をしてきて、やっぱり情報はタイムリーに共有した方が良いなと思ったんです。小さな誤解が溝を生んでしまうこともあるので、ギスギスするよう話は最初からするようにしたり、とくに LISA とは空白が長かったので、僕たちの雰囲気を分かってもらう意味のも込めて常に何でも共有するようにしています。すべてをクリアにする方がグループ全体の温度感を保てるし、クリエイティブな活動をする上で確実にスムーズだと思うんです。あと長年やっていて慣れてしまうと「俺は昔こうだった」とか言いがちですけど、そんなこと言っているとすぐに追い越されちゃうんで、まだ新人だった時の謙虚さや緊張感はいつまでも忘れちゃいけないと改めて思いました。

—3月7日発売のアルバム『m-flo / the tripod e.p.2』には、久々のバラード『never』をはじめ、m-floの真骨頂ともいえるダンス・チューンの『No Question』などが収録されていますが、一言でまとめるとどういったアルバムでしょうか?

原点回帰ですかね。ここ数年の曲作りを振り返ったら、僕たちは少し器用になりすぎていたなと気付いたんです。まだ EDM っていう言葉が世の中に浸透していなかった頃、これ面白いんじゃない?っていう感覚で 現代の「EDM」的な楽曲を作ったりしていたんですけど、いま思うと EDM を作る、という意識はありませんでした(笑)僕のラップに関しても LISA から「最近の VERBAL のラップつまらない」という素直な指摘を受けたので、今回曲作りをするにあたって、昔のリリック帳を掘り出して原点を見つめ直す作業もしましたね。そして、いまはパソコンひとつ曲を作れる便利な時代ですが、どうしてもみんな同じような音になりがちじゃないですか。だから☆Taku はあえて昔の機材使ったりしてるって言ってました。そういう意味でも原点に帰った僕たち m-flo の“part.2”を体現しているアルバムだと思います。それぞれのミュージックビデオにもこだわっています。

m-flo / No Question

—『No Question』のミュージックビデオは再始動を全面的に感じる仕上がりになっていますよね。

そうですね。m-flo がグループとして一新してまた始まるっていうテーマ性の曲なので、ミュージックビデオではモデルさんにそのメッセージを込めて坊主になってもらおうとしていたんです。僕としては、LISA が坊主になるのが一番良いなと思っていたんですが、そんなこと流石に言えないじゃないですか(笑)でも絵コンテを見せたら彼女の口から「これ私がやった方がいいでしょ」って(笑)でもただ坊主になっても面白くないから、昔のミュージックビデオの映像を引用して、そこから坊主になってもらうことにしました。トランジションとしては最高ですよね。かなり印象的なシーンに仕上がっています。

—過去のオリジナル楽曲150曲を網羅したアルバム『UNIVERSE』や新進気鋭のアーティストを迎えて過去の楽曲のリミックスを収録したEP『BACK2THEFUTUREEP』は、どのような経緯でリリースされることになったのでしょうか?

新作リリースまでの助走期間という感で、何か用意したかったんです。前夜祭じゃないですけど、何かに目掛けて聴いてもらえたら良いなと。『BACK2THEFUTUREEP』は☆Taku が中心になって、周りのイケてるアーティストだったり、彼が注目しているバンドにお願いしました。どこか懐かしいけど新鮮で、m-flo を再提案するにあたって、とても良いリ・イントロダクションになったかと思います。それこそ昔は、アルバム出してはリミックスアルバムを出してっていうサイクルでやっていたんですけど、ここ最近それをやっていなかったので、そうやって聴いてもらえると嬉しいです。

—リミックスもそうですが、m-floはほかのアーティストをボーカルに迎えた LOVES をはじめとするフューチャリング楽曲の印象も強いかと思います。LOVES はそもそもどういうキッカケで始動したのでしょうか?

LISAの脱退後、☆Taku と僕はしばらく各々で活動をしていたのですが、m-flo としての今後を考えた時にやっぱりボーカルが必要だったんです。当時の m-flo はまさに、Axl Rose (アクセル・ローズ) がいなくなった Guns N’ Roses (ガンズ・アンド・ローゼズ) のような状態だったんですよね(笑)そこで、毎回 Axl のようなボーカルを誘ったら面白くない?っていうアイディアから、LOVES が誕生しました。LISA のいた時代からのファンの人も納得するような、m-flo ライクな声質やルックスを持ったアーティストを無名有名問わずリストアップしたのですが、それでこそ当時日本ではまだフューチャリングっていうカルチャーが浸透していなかったので、一番最初にメーカーの方に相談した時は「それだとオムニバスアルバムになっちゃうでしょ」ってバッサリ斬られましたけど(笑)でもアメリカではもうフューチャリングが当たり前に行われていて、これから日本でもこのカルチャーが根付くと確信していたので、☆Taku と企画書を作ってメーカーの方に一生懸命プレゼンしましたね。

Photo by UTSUMI

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—VERBAL さんといえば、海外アーティストとフューチャリングした楽曲も印象的です。

あの頃は海外のアーティストと一緒にクリエーションすることのハードルを、誰もが勝手に上げていたと思うんです。今でこそ一緒にやりたいアーティストがいたら直接DMを送って話を進める時代ですが、その当時はアーティスト同士が話をするのはご法度、という時代だったんですよ。だからと言って繋げられるスタッフもいないので、結局話が進まないんですよね。もちろん、周りを差し置いて二者間ですべてを決めてしまうようでは良くないと思いますが、アーティスト同士が話すことって一番自然な姿じゃないですか。だから僕は独自のスタイルで海外のアーティストと繋がって一緒に楽曲を制作していました。

—LISAさん復帰後のm-floでもフューチャリング楽曲はリリースしていく予定ですか?

実はありがたいことに、そういうお話もきているんです。LISAも「m-floとしていい楽曲が作れるなら良い」と思ってくれているので、かなり前向きに考えています。m-floプロデュースという形にすれば彼女も楽曲制作に携わってもらえるし、より面白いものができるんじゃないかと考えています。

—今年で結成20周年を迎えますが、現在の音楽シーンと20年前の音楽シーンで違いを感じることはありますか?

インターネット、特にソーシャルメディアが普及してから、アーティストが発信することって増えましたよね。音だけじゃなくて目から得る情報も増えて、より体験型になったと思います。それこそ昔は Wu-Tang Clan (ウータン・クラン) のラップを聴いて、スタテンアイランドの悪そうな人たちの想像をする。そしてミュージックビデオからすべての Wu-Tang Clan 像を見ようとしていましたから。もっと振り返ると80年代は情報量が少ないから、レコードのジャケットからどんなアーティストなんだろう、どんな曲なんだろうって想像しなきゃいけなかった。でもいまってアーティストの日常の姿まで分かりますし、Famous Dex (フェイマス・デックス) のように毎日のようにインスタグラムのライブ配信をしているアーティストもいたりする。そういう意味で土俵はこの20年で大きく変わったんではないでしょうか。

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—確かに見せ方含めて勝負する時代になりましたよね。表現がより自由になったと同時に、意識しなければいけないポイントが増えたかと思います。

そうですね。そして逆に見せ方が上手くて成功しているパターンも多くあって、例えば Lil Yachty (リル・ヨッティ) なんかは、まさに“いま”のやり方な印象を受けました。以前、「Hot97」(ニューヨークのFMラジオ局)のメインパーソナリティーも務めている Ebro Darden (エブロ・ダーデン) が、Lil Yachty のマンブルラップはラップではないと主張して放送中にビーフを繰り広げていましたが、Lil Yachty の音楽性がEbroと合う合わないは別として、彼って見せ方がうまいんです。セルフプロデュースに長けている。そしてきっと彼のような若い世代は、それを特別に意識しているわけでもなく、当たり前にやっているんでしょうね。まあ m-flo としては、ミステリーに包まれた演出がしにくくなっているので、すべて見えてしまう中でそういったメディアをどうやって効果的に使っていくべきかを考える必要があります。

—海外にもよく足を運ばれていますが、現代の日本の音楽シーンを海外のシーンと比較して感じることはありますか?

徐々に変わりつつはありますが、つい最近まで日本の音楽シーンって日本国内だけでビジネスが成立していたので、世界で見るとかなりクローズドな状態だったんですよね。ある見方では特殊で面白いのですが、スキルの高いミュージシャンが沢山いるのに海外に向けて音楽を作っていないので、日本国外で勝負できていないのは勿体無いなと感じます。海外で iTunes を開くと K-POP のカテゴリはあるのに J-POP ってないんですよ。あとは権利関係が厳しいこともあって、海外では配信していない曲が多かったりもしますよね。一方で隣国の韓国は国策として K-POP を打ち出している分、映画も音楽もどんどん海外に出していくし、アーティストも自然と海外で活動するような状況になっているので、そういう意味で日本は少し遅れを取ってしまっているような気がします。

—海外では音楽とファッションの関係が密接ですが、そのふたつの関係性を VERBAL さんはどのように考えていらっしゃいますか?

確かに海外だと常に密接で、多くのアーティストがファッションのフィールドでも活躍していますよね。それに比べると日本ではまだ、そこまでファッションとの関係性が構築できていないような気がします。でもファッションって、それぞれが培ってきたもの、もっと言えばその人が聴いてきた音楽までもを彷彿とさせるじゃないですか。たとえば Public Enemy (パブリック・エネミー) のTシャツを着ている人がいたら、Tシャツの質の良し悪しの話の前に、その人にとっての Public Enemy のストーリーがあると思うんですよ。とくに HIPHOP って音だけの話じゃなくて、スタイルやアティテュードなどを含めたものすべてが HIPHOP なので、やっぱり切っても切り離せない関係にあると思います。

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—ディレクターを務めていらっしゃる AMBUSH® は、VERBAL さんご自身がラッパーとしてステージに立つ際に見栄えするジュエリーを作るべくスタートしたとお聞きしました。

そうですね。2000年代初頭の HIPHOP シーンでは、見るからに首に悪そうなブリンブリンのネックレスやリングが流行っていて、僕もそれに影響を受けてとにかく派手なジュエリーを身に付けていたんです。そしてある時、当時 Biz Markie (ビズ・マーキー) や Big Daddy Kane (ビッグ・ダディ・ケイン) のように自分の名前の入った四連のダイヤのリングが欲しいなと思ったんですけど、VERBAL っていうデザインがあまりしっくりこなかったんですよね。そして行き当たりばったりだったんですけど、アメコミによく出てくる「POW!」をモチーフにしたら面白いんじゃないかというアイディアが出て、「POW!」と書かれたダイヤのリングとネックレス1型ずつ作りました。最初は周りの友人から受けたオーダーのみを生産していたのですが、Kanye West (カニエ・ウェスト) の手に渡ると「こんなものを作るアホが日本にいる」と海外で面白がってもらえるようになり、オーダーが殺到しましたね(笑)

—あそこまで爆発的な反響があることは想定していのでしょうか?

想定外ですね。当初は純粋に僕が欲しいなと思うものを遊びの延長で作っていたので、それこそ商品も自分たちで佐川急便の伝票を貼って送っていたんですよ(笑)でも気付けばオフィスを構え、展示会を開催し、アパレルラインが増えるにつれてプレゼンテーションをやるようになっていました。そして元々ジュエリーブランドだったのでランウェイはやってこなかったんですけど、今回のコレクションはたまたまランウェイで見せられるくらいのアイテム数があったので、どうしようかなあと思っていた矢先、Amazon Fashion Week TOKYO (アマゾン ファッション ウィーク トウキョウ) 2018年秋冬シーズンの特別プログラム「AT TOKYO」に参加しないかと声を掛けていただき、来たる3月20日に初のランウェイショーを行うことになっています。

—AMBUSH® のクリエイティビティにおいて、東京の空気感が一つのキーになっているように感じますが、VERBAL さんの思う日本、そして東京らしさとはなんでしょうか?

いい意味で日本ってなんでもありなんですよね。究極のリミックス職人文化だと思っています。世界中の要素を取り入れて、うまく自分たちのものにしちゃうじゃないですか。ファッションにおいても様々なスタイルからそれぞれの良さを取って、うまくリミキシングしするのがいわゆる東京のスタイルなんじゃないかと。アメリカにいたら絶対に混ざることがないものも混ざってしまう。デザイナーの YOON (ユン) はアメリカ出身なのですが、彼女も日本のそういった文化がクリエーションする上でひとつのヒントになっていると言っていました。あとは東京には様々な人たちがやってくるので、刺激を受ける機会も多いですよね。

—海外のアーティストが来日した際によく一緒にいる姿を見掛けますが、彼らにはどのように日本の魅力を伝えているのでしょうか?

僕はおもてなし命みたいなところがあるので、どうやったらみんなに面白い体験をしてもらえるかな、楽しかったと言ってもらえるかなあということを常に考えています。やっぱりせっかく日本にいる以上は日本にしかないものを体験してもらったり、日本独特の雰囲気を感じてもらいたいので、高級ホテルの中のレストランには連れて行きません。先日 Pharrell (ファレル) が来た時は、渋谷駅前のカラ館の横にあるビリヤード場で、みんなでレモンサワーを飲みながらビリヤードをして、その後普通の居酒屋に行くっていうなんでもない夜を過ごしたんですけど、みんな想像以上に喜んでくれましたね(笑)あとはいつも見ているモノや馴染みの街も、初めての人と一緒に見ると新しい発見があったり、いつもと異なる観点から見ることができるので、その時間は僕にとっても意味のあることだと考えています。

—ここまでお話をお伺いしていて、VERBAL さんはご自身も楽しむ感覚を大事にしながら、常に新しい発見やクリエーションを追い求めているという印象を受けました。

音楽活動に関して言えば、楽しいから、好きだからここまで続けてこれたんだと思います。僕は青春時代のすべてをラップに捧げましたが、生涯食べていけるとは到底思っていなかったので、親の助言もあって大学卒業後は会社で働いていました。毎日死ぬほどつまらなくて、はやく一日が過ぎないかなあってことばかり考えていたんです。いま僕は自分がやりたいことをやって生きているから言えるんですけど、これを読んでいる若者の中で昔の僕と同じように、ただ一日が過ぎるのを待っている方がいたら、やりたくないことはやらない方がいい、と伝えたいですね。好きだと思えることや楽しいと思うことがあるなら、とことん突き詰めてほしい。新しいクリエーションを追い求めてほしい。もしそれが明確でないならば、いろいろ試してみたらいい。好きなことを思いっきり追求したら、そこには必ず未来があると信じています。無責任な発言ではありますが、それが僕からのメッセージです。

<プロフィール>
VERBAL (バーバル)
ラッパー、プロデューサー、DJ、デザイナー。1975年東京生まれ。1998年にインターナショナルスクールの同級生だった ☆Taku と2人で活動をスタート。その後、LISA が加入し、m-flo として本格的に活動を開始。セカンドアルバム「EXPO EXPO」は驚異の80万枚セールスを樹立するなど、数々のヒット曲を生み出してきた。2002年に LISA がソロ活動に専念するため、惜しまれながらも脱退を決断。2008年以降は、別ユニットでの活動やプロデューサー業など様々な分野で活動の幅を広げている。クリエイティブディレクターを務めるブランド AMBUSH® は、LVMH プライズにノミネートされるなど、国内外から絶大な支持を獲得している。

タイトル the tripod.e.p.2
発売日 2018年3月7日
収録楽曲数 11曲
価格 CD+DVD (品番:RZCD-86505/B)¥2,000
CD (品番:RZCD-86506)
¥1,200
HP m-flo.com