photo and words:
Yusuke Yamatani

【写真家たちの目線】 vol.8 山谷佑介

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Yusuke Yamatani

今、あなたが見ている明日はどんな景色ですか? のアンサーとなる1枚を、それに紐づく言葉とともに寄せてもらう本企画。写真家が写真家に繋ぐリレー形式でお届けする。

第7回に登場したKAOLIが紹介してくれたのは、2020年春に来日中の Thundercat (サンダーキャット) を迎えたファッションエディトリアルを撮影してもらった写真家の山谷佑介。神出鬼没なアートスポット「ギャラリー山谷」を主宰する他、特殊なセンサーを用いることで自身がドラムを叩く姿を撮影したセルフポートレートシリーズ「Doors」を提げヨーロッパを横断するなど、独自の視線によるコンセプチュアルな作品を精力的に発表し、東京の写真界でもひときわ異彩を放つ存在だ。

本企画への寄稿にもある通り、現在はマイホームの施工に奮闘中。制作過程は作家の Instagram (インスタグラム) で随時発信されており、モルタル壁造設、左官、土間打ちのワークショップも参加者募集中とのこと。

KAOLIからは以下の紹介文を寄せられた。
「私が山谷さんの作品に出会ったのは flotsam books という本屋さんでした。

当時ネット販売だけだったのでなんとなく見ていたのですがコンセプトなどがすごく気になり本人のページまで飛んでコソコソと作品を見ていました特にクラブに来た人たちの足跡を作品にしているもの。写真が2次元じゃなくて、2.5次元になっていて私にはそんな発想がなかったので面白いなあと思ったのを覚えています。

最近では、色々な媒体で山谷さんの写真を見ることが出来てご活躍をいちファンとしてとても嬉しく思っています。」

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Yusuke Yamatani

【写真家たちの目線】 vol.8 山谷佑介

夏。今まで自分の家を持つことに憧れも興味もなかったけれど、コロナで仕事もないし、時間はたっぷりあって、じゃあ家でも作ってみるかと探して見つけた横須賀の古い家。期せずして、ペリー来航から始まる横須賀近代史の土壌の上に建つ古民家に出会い、戦中・戦後の歴史を思ふ。

秋。フリーランスはお金を借りづらいと言われ、経歴を過剰に飾り立てたレジュメを用意し、なんとか通過した住宅ローン。いざ家を作ると決めてからは、建築の世界の深みにどっぷりと浸かり、本やネットを読み漁り、篠原一男の住宅論から出発し、南米はルイス・バラガンを経由し、藤本壮介にたどり着くものの、コンセプトと予算のバランスに施主として大いに悩む。そして建築家・濱田智成を大いに困らせる。

冬。現場作業が始まる。施主は大工見習いとなり、友人知人を総動員して挑んだ解体作業。竣工から90年の間に繰り返されたリフォームで埋もれてきた歴史が顕にされ、特筆すべき歴史的価値のない、ありふれた昔のものたちに今一度光が当たる。バールとカメラ。

今。A棟土間打ち。

(文・山谷佑介)