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BURBERRY

【History】 バーバリーのユニコーンを探せ

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【History】 バーバリーのユニコーンを探せ

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Text: Miwa Goroku

ブランドのルーツを知り、クリエイションの源に触れる新連載 History。毎回1ブランドを1テーマで掘り下げ、過去のアーカイブを現在につなぎます。第1回は、英国を代表するラグジュアリーブランド BURBERRY(バーバリー)。2018年、それまで17年に渡ってクリエイションを手掛けてきた Christopher Bailey(クリストファー・ベイリー)から、バトンは Riccardo Tisci(リカルド・ティッシ)へ。3シーズン目となる2020年春夏コレクションで、Tisciが目をつけたアーカイブとは。

BURBERRYのアイコンは英国とともにあり

ベージュのトレンチコート、バーバリーチェック、ロンドンでのランウェイショー  …… 英国のイメージにそのままリンクする力強いアイコンを持つBURBERRY。特にトレンチコートの完成度の高さは世界的な評価が確立されており、父母から子へと代々受け継がれるヴィンテージとしても注目を集める存在となっている。

トレンチコートのアーカイブキャンペーンビジュアル | © Courtesy of Burberry

受け継がれる服。それはただラグジュアリーかつ上質であるだけでは務まらない。服は着る以上消耗するし、スタイルには流行りすたりもあるからだ。そんな中でもワードローブのスタメンであり続け(しかも世代を超えて)、シーンを問わず、度重なる着用にも耐えていくA級のベーシック服というのが確かにあって、BURBERRYのトレンチコートはその代表格のひとつといえる。ここで思い出したいのは、こういったものづくりの背後には、必ず革新者がいるということだ。

トレンチコートが、第一次大戦中に考案されたというのは有名な話。このイメージに引っ張られがちだが、BURBERRYのルーツはもっと古く、創業者Thomas Burberry(トーマス・バーバリー)は、産業革命によって国の経済がピークに向かっていたヴィクトリア朝時代を生きた開拓者である。

創業者Thomas Burberryの肖像。「衣服は英国の天候から人々を守るものであるべきだ」という信念のもと素材開発から着手 | © Courtesy of Burberry

1856年、Thomasはわずか21歳でBURBERRY の原点となる1号店をオープン。1879年には丈夫で着心地の良い 布地ギャバジンを考案(1888年特許取得)し、レインウエアに最初の革命をもたらした。どんどんクリエイティブな頭角を現す一方で、ブランドのシンボル =馬上の騎士は意外にもコンテスト形式の一般公募だったとか。そしてBurberry家の家紋には、馬ではなくユニコーンを選んでいたという逸話も Thomasの自由な感性を物語る。「ユニコーンの話を聞いて、彼は大胆な革新者であると同時に、ロマンチストであり、夢見がちな人でもあったことがわかりました」とは、現在 BURBERRYのチーフ・クリエイティブ・オフィサーを務めるRiccardo Tisciが、2020年春夏コレクションのストーリー背景を尋ねられて曰く。

2020年のエボリューション

Riccardo Tisci がBURBERRYを手掛けるのは、今からちょうど1年前の2019年春夏コレクションから。BURBERRY のハウスコードであるベージュを多用し、乗馬のモチーフを遊び、アニマル柄のプリントを交えるアプローチを、自身が得意とするシャープなカッティングで展開していく。「本来トレンチコート派ではなかった」という彼だが、BURBERRYの膨大なアーカイブをリサーチするうちに、トレンチコートの魅力と可能性に開眼したようだ。

2020年春夏は「エボリューション(進化)」をテーマに掲げ、シルクのパネルを合わせたり、クリスタルのリングでピアッシングを施したり、スーパーロング丈をひるがえらせたりのハイブリットなトレンチスタイルを構築。BURBERRY の歴史が根差すヴィクトリア朝のスタイルをベースに引用しつつ、革新的なテクニックと独自のカットで、これまでのBURBERRYにはなかった空気をまとわせている。ランウェイの終盤には “THERE ARE UNICORNS(ユニコーンがいる)”  “I AM A UNICORN (私はユニコーン)” と刺繍したレースドレスも登場。ブランドのオリジンを受け継ぎつつ、革新を続けるBURBERRY の挑戦から、またしばらく目が離せなくなった。